ALC外壁(ヘーベルボード)の特徴とメンテナンスの注意点

壁

ALC外壁(ヘーベルボード)とは

 

ALC外壁とは、工場で出来上がった複数のパネル(ALCパネル)で構成された外壁のことです。

パネルで構成される点はサイディングと同じですが、様々な材質を外装材に用いているサイディングとは異なり、ALC外壁は「軽量気泡コンクリート」を外装材として使用しています。

 

ヘーベルとALCは同じ?違う?

「ヘーベル」は超有名なALCの商品名

  • ヘーベル
  • ヘーベルボード
  • ヘーベルハウス

これらの名称は旭化成のヘーベルハウスでお馴染みの旭化成建材が売り出していて、ALCの代名詞となっています。

そのため、ALC外壁を呼称する際、「ヘーベルの外壁」「ヘーベルボード」と呼ばれることも多いですが、実際は全てが「ヘーベル」ではありません。

ヘーベル以外のALCブランド

ALC協会によると、日本でALCボードを販売している建材メーカー・ブランドは以下の3社です

その昔、エスケー化研がリシン吹き付け用の外装材で「シポカケン」という材料を出していましたが、この名前の由来は「シポレックス+エスケー化研」だった、とエスケー化研の方に聞いたことがあります。

ALC外壁のメンテナンスの特徴

外壁塗装を考える際のALCのメリット

また、ALCはサイディング同様、パネルの板間目地にはシーリングが充填されていて建物の揺れに追随します。

ですからモルタル外壁とは違い「どこにヒビが入ってしまうか分からない」といった事が無いのが、外壁塗装のメンテナンス上の特徴になります。

ALC外壁は「半永久的」は誤解

ALC外壁はサイディングと比較して厚みがあり、かつ特殊な構造のコンクリートを採用することにより耐火性・遮音性・耐震性全てにおいて効果を発揮するとされています。

メーカーは「サイディングに全てにおいて勝り張り替えも不要、半世紀・あるいは半永久的に工事不要」とまで謳っています。

ただ、この謳い文句を誤解して「メンテナンスフリー」と捉えてしまうお施主様も多いので、注意が必要です。

「半永久的」という単語に目を引かれがちですがこれは誤りです。

メーカーのアナウンスにも「塗り替えなど適切なメンテナンスをもとに張り替え不要と推定される年数で、保証値ではありません」とあります。

いかに丈夫なALC外壁でも、表面の塗装や目地シーリングの寿命の限界は15年です。

それ以上放置してしまうと紫外線や雨水によって雨漏りやALC素材の劣化や欠け、表面塗装の再生が不可になるなどの不具合が起きて来る確率がとても上がってしまいます。

LC外壁は塗装と目地のシーリングが命

ALCは雨漏りしやすい?

ALC外壁が雨漏りしてしまうケースは、ほとんどがシーリング切れによるものです。

いくらALCの板が軽石のようであるにしても、外壁から染み入った雨水により漏水してしまう事は無いでしょう。

つまり、ALC外壁で雨漏りしてしまう場合は、屋上の防水の不具合以外のほとんどがシーリングの劣化によるものと言えます。

よくあるALCの雨漏り事例

よくあるALCの雨漏り事例では、外壁塗装を行った時にシーリングの劣化に対して【シーリングの増し打ち】で対応したケースです。

ALC外壁は60㎝×2.7mの板がメインです。

その為、シーリングで継ぎ目を埋めている長さが物凄く多いのも特徴です。

さらに、目地も深いので材料も沢山使います。

 

これを交換するには外壁塗装と同程度の予算が掛かってしまいます。

そこで安易に「大丈夫だろう」とシーリングを交換せずに、今あるシーリングの上から重ねる「打ち増し工事」を行ってしまうケースがあります。

重ねるので大丈夫そうに思えますが、結局新しいシーリングが薄くしか付かないので早々に劣化してしまいます。

そうすると、工事した直後は「直った!」と喜んでいられるのですが3年~5年程度でまた雨漏りが始まってしまうのです。

 

ALC外壁のメンテナンスサイクル

ALC外壁を丈夫で長持ちに保つ為には、定期的で適切な外壁の塗装とシーリングの交換が必須です

(同じ状況下でサイディングよりも少し持つくらいの感覚でいると、個人的には良いと思います。)

サイディング同様に目地シーリングは経年劣化しますが、サイディングパネルの厚みが16㎜程度なのに対し、ALCの厚みは35㎜~200㎜まであるので、シーリングの奥行き(厚み)が倍以上違います。

その為、サイディング外壁とは違い10年前後であれば必ずしも「シーリングの交換が必要ですね」とは言えないケースも多いのがALC外壁の特徴でもあります。

本来はALC外壁に限らず外壁の塗り替えは10年前後で行うのが望ましいのですが、約2年ほど伸ばして【12年~14年】での外壁メンテナンスが必要です。
また、築20年を過ぎたら、全体の目地シーリングの打ち替え工事が必須となりますので、工事の見積もり段階で十分業者からの説明を受ける必要があります。

ALCの画像集

平面な壁

一般的なALC外壁(フラット)

一般的なALCボードは、1枚が縦2700㎜・横600㎜。
軽石のような、巣穴のある表面をしている。

ブロック壁

意匠性のあるALC外壁(ブロック状)

ALCの製造時にフラット状では無く、あらかじめデザインを施したものもある。

ALCボードの目地

ALCボードの目地を撤去した状態

サイディングに比べ大きく、耐用年数も長いのですが、打ち換えなければならない場合もあります。

目地の外れたALC

目地の外れたALC外壁

ALC外壁の防水性は目地が担ってにいる。
写真のように目地が無くなっていると、室内で雨漏り現象が分からなくてもALCと室内壁の間(鉄骨の柱内)には雨が入り込んでいる可能性が高い。

\フォローお願いします/

投稿者プロフィール

高橋 良一
花まるリフォーム代表。高橋塗装店の息子として世田谷で生まれ育ち22歳で職人デビュー38歳で花まるリフォームとして独立しました。戸建住宅の「外壁塗装」に関わることなら誰よりも知識と経験が有る、そんなイケナイ自負(苦笑)があります。仕事以外ではアニメとかマンガが好きな第一次オタク世代です。